お客様第一主義で大丈夫?

3月末に発売になりました新刊「リーダーはやってはいけない」(PHP研究所)の未収録原稿をご紹介いたします。

こちらは「実はうまくいくリーダーと「やってはいけないリーダー」の対比型になっております。

■□■□ リーダーのやってはいけない 第3回■□■□

×  クレーム時にはお客様第一で対応する
〇 クレーム時には部下本人を第一に考える

リーダーの真の姿はピンチの時に出ると言います。その時のリーダーの対応によって部下の信頼度は変わってきます。

ピンチの時の代表的なものとしてクレーム対応があります。

クレームは誰もが好き好んで発生させるものではありません。しかし、その時の対応によって、お得意様になる場合もあれば、取引がなくなる場合もあり、非常に重要な仕事です。

 
仮に次のようなクレームが起きたとします。

部下のE君がお客様に頼まれて航空券の予約を手配していました。

途中色々変更があり、お客さまが、本来3月17日で予約するつもりだったのが、3月16日で予約されていました。3月17日にお客様が空港でチェックインをした際、エラーが出て、間違いに気づきました。

その便どころか夜遅くの便まで満席になっていて、客先のイベント運営ができなくなってしまいました。

お客さまは部下のE君に怒って「何とかしろ」と連絡しますが、どうしようもなりません。リーダーを連れて2時間後、お客様に謝罪に伺うことにしました。

会社を出る前にE君はお客さまとのメールのやり取りを確認しました。

すると、お客さまから最後に変更で3月16日の午前中の便でお願いしますとなっていることがわかりました。

E君は間違っていなかったのです。

ただし、この場合「正しいか間違いか」を言い合っても仕方ないと考え、まずはお詫びする方針で先方に出向きました。

 
お客さまはカンカンでした。イベントは先に現地に入っていた関連会社のスタッフに仕切ってもらい問題は起きなかったものの、クライアント先がお怒りで、損害賠償問題だとまくし立てます。

クレームの基本は傾聴であり、お客さまの話を最後まで聞くことが大切です。

最初はリーダーとE君、2人で「申し訳ございません」と頭を下げながら、話を聴いていました。1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、一向に怒りがやみません。それどころかとんでもないことを言い始めたのです。

「Kさん(リーダーの名前)、あんたこれは大問題だ。Eさんをクビにしろ」と言い出したのです。

ここで、Eさんは今までの状況と打って変わってキリっと言い張ります。

「Tさん(お客さまの名前)、確かに弊社は確認が足りなかったかもしれません。でも実際に手配を受けたのは3月16日です。そもそもこれ以上言いがかりをつけるなら、裁判にしましょう。Eは弊社の大事なスタッフです。私が守る権利があります」

このように言い張ったそうです。

それまでどちらかというと、Kさんは補佐的な役割に接し、あまり前に出ていくタイプのリーダーではありませんでした。でも緊急対応時、部下を守ったわけです。部下から信頼されます。

一方、かつて隣の部署でこういうリーダーがいました。

このリーダーは、普段は堂々として、どちらかというと、部下に威圧的に接していたのに、クレーム対応の際、お客さまの前でオロオロしてしまったそうです。さらには「お客様の言っていることがもっともです」と言い、納得できていない部下に謝罪を無理矢理させたそうです。

かつて「お客さまは神さま」という言葉が浸透していました。

どんな理不尽なクレームを言われても、お客さまの言うことが絶対だということでした。結果、理不尽な対応をせざるを得なくなったというケースも多々ありました。

 
しかし、「お客様満足度」は「従業員満足度」が上がり、従業員がいい対応をすることが元になっているということがわかって以来、従業員満足度の方が優先されるようになってきました。

 
非常事態こそ、リーダーの本質が問われます。

冷静に堂々と対応しましょう。

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