思い込みに注意する

今回は3月19日に発売になりました新刊「リーダーはやってはいけない」(PHP研究所)の未収録原稿をご紹介いたします。

こちらは「実はうまくいくリーダーと「やってはいけないリーダー」の対比型になっております。

■□リーダーのやってはいけない 第2回■□

リーダーのやってはいけない 第2回

人の心の中は、他人が思っていることと全然違ったりします。

「こうするとモチベーションが上がるのではないか」「こんな仕事をしてもらうと喜ぶのではないか」

リーダーが上記のように思っていても、実際部下はモチベーションが上がらないかもしれません。ただし、A君は喜ばないけど、B君は喜びモチベーションが上がるというケースはあるかもしれません。あるいは違う仕事のほうが喜ぶかもしれません。

部下の心の中まで把握することはできないのです。

またモチベーションは仕事以外の要因、体調などに影響されることもあります。その他、例えば朝家を出る前に家族と言い合いをしてしまった、電車の中で失礼な人がいた、あるいは、好きなプロ野球選手が意中の球団からFAして出ていってしまったなど。

挙げてみるとキリはないでしょう。

ある日頼んだ仕事で嫌そうな顔をされたのに、翌日頼んだたら、機嫌よく引き受けてくれたなんてケースもあるでしょう。

かつて私自身、どうしたら部下や面談をしているクライアントのモチベーションが上がるか日々考えて、色々取り組んできました。面談で部下にヒアリングして「こうすればモチベーションが上がる」という方法を教えてもらったことがあります。

それなのに、モチベーションが上がらなかったことがあるのです。

部下自身が言ったにも関わらずです。

後で聞いたところ、「他のお客さんとのやり取りで迷惑をかけてしまったので、そのことが気になり、仕事全体のモチベーションが落ちていた」とのことでした。

そうなのです。モチベーションを100%上げる方法はないのです。

余談ですが、私は焼きそばが大好きですが、さすがに高熱を出したとき、食べたいと思いませんでした。

一方で、モチベーションが100%下がるケースはあります。仮に稀なケースがあるかもしれないので、ここでは100%近くと言っておきましょう。

いわゆる言ってはいけない頼み方、コミュニケーションなどです。

これは汎用的なものもあれば、部下各々特有のものもあります。

ここでは中でも特にしておきたい2点をご紹介していきます。

1.1on1ミーティングで部下に訊いてみる

実際にどんな時にモチベーションが下がったかを、部下にヒアリングしてみましょう。こんなこと訊いても部下は上司の前では答えないだろうと思う人もいらっしゃるかもしれません。

仮にそうだとしたら、それは部下との信頼関係が構築できていないということです。信頼関係が構築されれば、部下はどんどん話してくれるようになります。実は「プライベートでこんなことがあって」などと言ったところまで教えてくれるケースは少なくありません。

2.自分が言われたら嫌な言葉は使わない

昔、上下関係が厳しい名門校の野球部出身の方が、「1年生の時、俺らは奴隷だった。その経験もあり、3年生になったとき、1年生を奴隷扱いにした」なんて話を聞いたことがあります。

その時、「なぜこの人は嫌な思いをしたのに、また後輩に嫌な思いをさせたのだろう」と疑問を持ちました。実は、上司と部下の関係でも、「部下の時、上司に厳しい罵声を浴びせられながら働いた。すごく辛かった。だから、自分も部下に厳しく指導するんだ」と、ハラスメント系のマネジメントをする人がいます。

このような人はリーダー失格です。

自分が言われて嫌な言葉は使わないことです。

【3月19日発売新刊 『リーダーのやってはいけない』(PHP研究所)】