3月に発売になりました新刊「リーダーはやってはいけない」(PHP研究所)の原稿の一部をご紹介いたします。
こちらは「実はうまくいくリーダーと「やってはいけないリーダー」の対比型になっております。
■□■□■□リーダーのやってはいけない 第5回■□■□■□
× 1on1は評価面談のためと思っている
〇 1on1では評価の話をしない
1on1ミーティングを評価面談の場とリーダーAさんは考えていました。
その場で評価こそしませんが、「あの件どうなっている?」「よし、今日はタイムマネジメントについて話そうか」と自ら主体的になって、部下に話題を振っていました。
話題は、リーダーが知りたい内容か、その部下に身につけてもらいたい内容でした。
そもそも、評価面談はリーダーも部下も鎧を着た状態で臨むものです。リーダーは当然、部下に成長してもらいたいと思っていますが、その半面で、適切な評価をしなくてはいけないと思っています。
もちろん適切な評価をするのがリーダーの仕事ですが、そこが見えると、部下も悪い評価をされたくないので取り繕って、悪い部分を出さないようにします。
悪い部分を出して評価を下げられたくないという部下の気持ちも当然あってしかるべきことです。
しかし、そのような状態では、部下との信頼関係は構築されないでしょう。
そのように書くと反論したくなる方もいらっしゃるかもしれません。部下の評価を上げるためにリーダーは面談をしているのだと。
PDCAなどをチェックして評価を上げていけばおのずと、信頼関係は構築されるのではないかと。
確かに実力を伸ばすように導いてもらい、評価を上げてもらえば、部下はリーダーに感謝するでしょう。
だからといって、困ったことを相談しても大丈夫だといった信頼関係は構築されず、うわべだけの関係になるでしょう。
リーダーAさんは、部下と上手くいっていると思っているものの、どこか距離を感じていました。
そもそも仕事をしていれば、いい状態になる時もあれば悪い状態になる時もある、悪い状態になったときに相談できるのが信頼関係です。リーダーBさんは、そう考え、1on1面談では評価の話をしませんでした。
リーダーの仕事は、部下との信頼関係をつくりながら、成長を応援することだと思っていたのです。よって、部下が安心して相談できる場、これを1on1では心がけていました。
このような位置づけで1on1をすることで、部下も悩んでいることや困ったことを気軽に言えるようになりました。
結果、次のような出来事が起こりました。
1.突然の退職を防止できた
優秀な部下T君は、1on1で「実は今の仕事に飽きてきたので転職を考えていました。
新しく商品企画の仕事も少しやらせてもらえないですかね」と言ってきました。おかげで彼の退職を未然に防止することができました。
2.ホウレンソウが増えた
それまでは報告が遅い傾向にあったミスなどの悪い報告も早く上がってくるようになりました。
3.部下が生き生きとし始めた
一番は部下が自主的に考えて動くようになったことです。1on1では、フラットに話すので、こういうことをやってみようかといったアイデアも生まれやすくなります。S君は1on1がきっかけで、新しいターゲットを見つけ、そこに注力するようになりました。