リーダーのやってはいけない ★第1回

今回は3月19日に発売になりました新刊「リーダーはやってはいけない」(PHP研究所)の未収録原稿をご紹介いたします。

こちらは「実はうまくいくリーダーと「やってはいけないリーダー」の対比型になっております。

× 朝一番に出社する
〇 始業10分前に出社する

「働き方改革」の導入など、昨今では夜遅くまで残業することをよしとしない風潮が出てきています。私が社会に出た1990年代半ばに流行っていた栄養ドリンクリゲインのCM「24時間働けますか」は、遠い昔の出来事です。

しかし、そうはいっても、ITなどの発達、かつては10人でやっていた仕事を7人で回したりなどの人員縮小によってむしろ当時より仕事が増えている傾向にあります。

だからといって、定時に帰っても家に持ち帰って仕事をしていたら、残業しているのと同じで心身が疲弊するのは変わらないでしょう。むしろ、持ち出し厳禁の書類を帰りの電車の中に忘れてしまい、情報漏洩してしまったり、コンプライス違反につながる恐れもあります。

リーダーは不要な仕事を減らしたり、個々が取り組んでいる仕事の効率化の暗黙知をチームメンバーで共有できる形式知にしたりする必要があるでしょう。

このような風潮の中、夜にやる残業を朝にシフトする。いわゆる、朝始業時間よりも早く出社する人がいます。

朝の時間帯は脳も冴えているので集中力も高い状態です。さらに朝早く出社して仕事をしていると「頑張っている」と高い評価を受けることが多くあります。
 

しかし、この朝早い出社は、「残業」であることには変わりありません。
 

プレイヤーの頃なら、朝早い出社でもいいでしょう。しかし、リーダーに昇格したら、朝早い出社は止めましょう。

部下の心境からすると、リーダーより遅く出社するのは気まずく感じてしまいます。

仮に始業時間が9時だとします。
 

リーダーが8時に出社していたら、部下たちは8時より前に出社しなくてはならないと考えて、早く出勤するようになります。
 

そのような状態になり、「みんな朝早く出社するなんて素晴らしいことじゃないか」と思った人は多いのではないでしょうか。これは危険な考え方です。
 

考えてみましょう。この場合「朝1時間残業」をしているわけです。
 

リーダーが早く来ることで、残業を斡旋しているのです。
 

これはよくありません。
 

部下が育つリーダーはできるだけ始業時間に近い遅い時間、いわゆる10分前に出社しています。
 

これに対して、「10分前に出社なんていいわけないだろう。やる気がないかと思われる」と反論したくなる人もいるでしょう。
 

しかし、これに対して私は正しい方法と言い返せます。
 
 
大切なのは、10分前に起きるけど、1時間以上前に出社する人より早い時間に起きるのです。
 

よって眠い目をこすりながら10分前に出社するのではありません。
 

この状態では、始業と共にエンジンはかかりませんし、寝起きの状態で、寝ぐせもつき、朝食もとらずに慌ただしく出社してくるようなリーダーについていこうと部下は思わないでしょう。
 
 
部下が育つリーダーは早起きして、朝カフェなどで勉強したり読書したり充実した「自分を投資する時間」を過ごして、10分前に出社するのです。そして、10分後に高いエンジンで仕事をスタートします。
 

なぜ、10分前なのでしょうか。
 

これは、部下に「始業前残業」をさせないようにするためです。
 

部下からするとリーダーより遅い時間には来にくいものです。
 

なお、朝1時間前から10分前までを過ごす会社の近くのカフェでは決して仕事をしないようにしましょう。なぜなら、この時間を仕事にしてしまうと、結局のところ作業時間を短縮しているわけではないからです。
 
 
また、朝は1番頭が冴えているので、自分の学びのタイムにするべきだからです。
 

変化のスピードの激しい現代、リーダーはたくさんの学びが必要です。
 

その学びの時間に充てるのです。

【3月19日発売新刊 『リーダーのやってはいけない』(PHP研究所)】